近自然工法(遊歩道整備)実施中

1月26日現在、小笠原村は「おがさわら丸」が年に1回の定期検査(ドック)中のため、観光の方も少ない、とても静かな村内です。
しかし、遊歩道では、なにやらガサガサと賑やかな音がしています。
その理由は、村民や観光客の方々が通っている遊歩道の整備を行っているのです。
整備といっても、ただ補修するだけではなく、そこで息づいている木々や植物の保護と、歩道を通る人のことを考えた手法による整備です。
そして、何よりも現地の木や石、土を使っているため、自然の状態に戻し回復させるといったことを目的としています。
簡単な説明ですが、このような整備の手法を、「近自然工法」といい、小笠原では、今年で4回目の実施となります。

と、言葉で書いてみましたが、わかりづらいので実際に整備の写真でご覧いただければと思います。
↓昨年の大雨の影響で、土砂崩れがあった箇所です。
1. 施工前:1.25

↓これ以上崩れないような施工を行いましょうということで、長さ2メートル80センチのモクマオウ(木材)を運び、まずは、位置や角度、向き、高さを考えます。最初が肝心なので、結構考えます…。
2. 木調整中

↓決まったら、場所に合わせます。写真左下には、これから使う石材を近辺から、わっせわっせと運んできました。
3. 木埋め込み中

↓基本となる木が動かないよう、端に生えている木の幹などで固定し、石や砂利で高さを調節。一見自然の遊歩道な感じです。
この歩道、何がすごいかというと、人が通れば通るほどがっちりおさまるように施工されています。
そして、周りの植物は切らず、杭も使用していません。
4. 石・砂利・土敷き詰め完了

↓ちなみに、逆側から。
通る際に、「お、なんか通りやすくなったな。」と感じていただきたいという思いで施工しました。
4-2. 逆側から

↓崩れの原因は、崩落もあるのですが、雨水が1箇所に集まることにより起こる浸食なので、数メートル上部にて、水の流れを少し変える施工も行いました。
5. 施工上部にて排水箇所木調整中

↓今度も、作業は同じです。固定し、石組みを行い、角度を付け自然にも人にもストレスにならないように考え、合わせます。石の角度を入念に考えました。
6-2.  排水箇所石詰め

↓石材でしっかり固定したら、砂利と土をかぶせます。あとは、自然に土壌が慣れてくれるのを待つだけです。
7. 排水箇所砂利・土詰め

↓そして、反対側も。
こちらは、水が流れてくる側ですので、写真奥が高く、手前を低くした施工を行いました。
8. 排水箇所砂利まき

↓完成です。水が、うまく右の谷側へ流れてくれますように。
9-2. 排水箇所完了

↓今回は、同じような施工でしたが、場所によって、まったく違う方法で行うそうです。
次回、施工する場所ですが、ここは石材を中心に行うそうです。すべてが自然物で行うため、施工しながら、良い方法を考えるそうですが、いったいどのような歩道になるのか楽しみです。
11. 次回施工箇所確認
この近自然工法を用いた遊歩道整備には、小笠原のガイドさん他、多くの方が関わっています。みなさん少しでも安全で、自然で長く使えて良い道を目指して辛くても楽しく行っています。

そして、この写真に写っている方が、北海道山岳整備の岡崎さん。
難しい施工は自ら行いつつ、私たちに技術指導を行ってくれています。

今、施工しているのは、千尋岩に向かう遊歩道です。今後歩かれる際には、各箇所で近自然工法の跡が見れますので、ぜひ探してみてください。

遊歩道整備は、日々場所を変え2月6日まで父島、そのあとは母島で行います。
もし遊歩道上で私たちを見かけましたら、荷物等置いてありますので足元に気を付けてお通りください。通行は可能です。

皆様のご理解よろしくお願いします。