今年3月、新扇浦浄水場が完成しました。
返還後の復興期当初から島民の生活や産業をずっと支えてきた旧扇浦浄水場はすでに稼働を止め、今では父島の水道水は新浄水場からの水になっています。
その新浄水場からの水、これまでよりも美味しくなっているともっぱら評判です。
ならばその秘密を見せてもらいましょう!
ということで、5月30日(土)に行われた、新浄水場見学会に行ってきました。
さて、水が美味しくなったいくつか理由はありますが、一番の目玉ポイントは、「帯磁性イオン交換樹脂」を採用したことなんだそうです。
ものすごくかいつまんでご説明しますと。
大きな川のない父島では、どうしてもダムに貯めた水を利用するしかないわけですが、貯めた水はどうしても動物や植物が元の有機物が多く含まれることになり、それが元の臭いもついてしまいます。
これを除去するのに、これまでの方式ではなかなか完全に、という訳にいかず、その分消毒などの薬品も多めに使わなければなりませんでした。さらに塩素剤と有機物が結び付くと、かの悪名高い「トリハロメタン」が発生してしまいます。ああどうしたら。
そこでこの「帯磁性イオン交換樹脂」!
これを下処理された原水に入れてかき混ぜると、たちまち有機物の汚れと結合してくれます。
↑この中で混ぜてます。
結果として有機物が減る→薬品の量が少なくて済む+トリハロメタンも減る、ということになります。
日本国内では、食品加工工場などで使用されている例はあるそうですが、浄水施設で使われるのは、この新扇浦浄水場が初めてなんだとか。
何だかすごいぞ新浄水場!
もちろんその他にも、新浄水場は新たな工夫や技術がいっぱいです。
こういう工場的な場所の大きな機械って、ついワクワクしてしまいますね。
社会科見学的な。
さて、これは何だか分かりますか?
原水を処理していく過程で出てくる泥や有機物などを、ガチガチに脱水したものです。
活性炭処理をしているので色は真っ黒。
元が汚泥でも、臭いが全然しないんです。ちょっとびっくり。
残念ながら説明会は終了してしまいましたが、新浄水場は本日も稼働中です。
皆さんもグレードアップした父島の水、ぜひ実感してみてくださいね。