小笠原諸島で一般の方が住む2つの島、父島と母島を結ぶ唯一の交通路である「ははじま丸」。
現在、今年7月の就航に向けて、「新」ははじま丸の建造が着々と進んでいます。
去る3月27日(日)、めでたく進水式が無事に行われました。
我がブログの優秀かつはは丸愛に溢れる特派員から、超濃厚なレポートが届きましたのでお送りいたします。
以下、特派員の文章ママ、ノーカットでどうぞ。
「平成28年3月27日(日)長崎市「渡辺造船所」にて建造中の新ははじま丸の命名・進水式がありましたので、その様子をレポートします!
新ははじま丸はこの屋根付きのドックで建造されています。屋根付きのドックはなかなか珍しい設備のようです。
進水式見学者の受付風景。
受付テーブルの後ろには日の丸と伊豆諸島開発の社旗が飾られています。おおよそ70名の見学者があったそうです。
東京からの「進水式ツアー」参加の皆さんが乗るバスも到着しました。
造船所の屋根付きドックにて進水の時を待つ新ははじま丸。鉄板の曲線が非常に美しいですね。左の楽団の生演奏が式典の雰囲気を盛り上げます。
船体下部の赤いところは海に浮いていると海中に入り見えなくなるところです。左右に飛び出ているヒレのようなものは「ビルジキール」と言って船の横揺れを緩和する効果があります。船体の大きさの割には幅広のものが付いています。良く聞く「フィンスタビライザー」ではありません。また、船底には船首から船尾に向かって縦にはえているヒレは「センターキール」と言って、航海中の直進安定性を高める効果があります。
船尾の様子です。新ははじま丸はエンジンも2基、スクリュープロペラも2基装備しています。また、ツインスケグ(船尾双胴)という特殊な船尾形状をしていることにより、在来船型よりも水の抵抗を減らすことが出来、速力をより一層安定させる効果が期待できます。
安心してください、フィンスタビライザーもちゃんとついてますよ!(画像は羽を格納した状態)
式典前に船主や来賓が立つ式台(ステージ)を見せていただきました。進水前の神事を行なうためのお供え物などが並べられていました。神事は神主による祝詞、船主や小笠原村地元代表、来賓による玉串の奉納がありました。
神事が終わるといよいよ命名進水式が始まります。造船所の司会による開会宣言があり、冒頭でご紹介の生演奏により、会場内全員で国家斉唱を行ないます
式台の登壇者が台の下にいる見学者や造船所のスタッフに感謝の意を表するため、紅白餅をまきます。
こちらがそのお餅。
小さいですがちゃんと紅白になっています!よそ見をしていると空から降ってくる餅に・・・結構イタいです!!
伊豆諸島開発社長による命名。これまで新船は造船所の建造番号である「227番船」と呼ばれていましたが、この瞬間から正式に「ははじま丸」になりました!
紅白幕が外されて「ははじま丸」の船名表示がオープンに。遠い長崎の地で慣れた船名を見ると妙に安心しますね!
命名が終わるといよいよ進水です。造船所の技術者の方が進水のために船台を準備します。そしていよいよ準備が完了、責任者の方より進水準備完了の報告があります。
いよいよ、その瞬間です。母島の新成人代表「田澤怜奈さん」が、新ははじま丸と陸上を繋ぐ最後の綱、支綱(しこう)を斧で切断します。
支綱を切断すると、新ははじま丸は船尾側からスルスルと海へ滑り出していきます。3月27日午前9時49分の出来事でした。
船首に吊されていたくす玉が割れ、中から風船と紙テープ、そして紙吹雪が宙を舞います。感動の瞬間です。この船がこれから私たちの暮らしを運び、守り、そして島を育んでいくと考えると胸が熱くなります。式台に登壇している全ての皆さんも笑顔で進水作業を見守りました。
花火の祝砲も鳴らされて、新ははじま丸の進水のお知らせが長崎の街中に響き渡ります。
海に浮いた新ははじま丸。タグボートに引っ張られて新ははじま丸は造船所の岸壁に戻されます。
まもなく4月だというのに真冬のように寒い一日でした。しかし、桜が咲き始めて、まるで新ははじま丸の進水を祝っているかのようでした。
新ははじま丸はご覧のとおり、煙突やマストも付いておらず、まだまだ未完成の状態です。これより7月1日の就航を目指して、内装や機関の設置・調整などを行なう「艤装(ぎそう)」という作業に入ります。
なお、進水式の後は造船所の好意による造船所見学会がありました。進水式から見学会まで多くの造船所スタッフの方が大変親切にご対応くださり、温かみがあって思い出に残る進水式となりました。この雰囲気は母島のイベントに似ていますね!
新ははじま丸の就航により母島へのアクセスがより一層快適になります。皆様ぜひ母島旅行をご計画ください!」
以上、臨場感あふれる超大盛り現場リポートでした。
なお、本写真の一部は熱狂的船ファン集団「着発産業」の皆さまよりご提供をいただきました。
どうもありがとうございました!